当院の検査実績データと分析(last update 2018.3.30)
[乳腺外来を受診された患者さんの推移(1)]
[乳腺外来を受診された患者さんの推移(2)]
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現在授乳中で、乳房の症状や授乳について悩んでいる方へ


当クリニックでは母乳授乳を支援しています。

助産師さんと協力し授乳中のあらゆるトラブルを解決できるように努力しています。母乳授乳で不安を抱えている方、悩んでいる方は是非相談してください。
特に授乳中の乳腺炎については、積極的に治療しています。授乳中の乳腺炎は出産後6ヶ月目までが、最も頻度が高いのですが、出産後から積極的に母乳授乳のケアを助産師さんと協力してゆけば、難なく乗り切れます。また乳腺炎は、うつ乳から始まりますが、このうつ乳は母乳授乳をしている間はいつでも起こす可能性があります。このうつ乳をうまく乗り切ること、迷ったとき、またうつ乳から実際に乳腺炎になって発熱や、乳房痛、乳房のしこりができたときは、いずれのタイミングでも助産師と協力のもと、乳腺医として治療に関わっています。このうつ乳、うつ乳性乳腺炎、そして化膿性乳腺炎まで治療の基本は助産師さんによる乳房マッサージと授乳の継続です。この乳房マッサージでうつ乳を無くして授乳を続ければ、乳腺炎は軽快し、母乳授乳が可能になります。乳腺炎になっても、授乳を止める必要はありません。
また乳腺炎が進行して化膿し膿をためても、できるだけ切らないで治してしまう方針で対応しています。これは膿をためた部分に針をさして膿の一部を吸引して外に出す操作と乳房マッサージの併用により、母乳授乳を続けながら切開しないで、乳腺膿瘍を治療することができることもあります。そしてもとの母乳授乳を続けられるのです。決して乳腺炎になったからといって、母乳授乳を諦めることはありません。
  また余談ですが、出産回数が多いほど、母乳授乳期間が長いほど乳癌の危険度が低くなることが証明されています。最近はどうしても授乳期間が短くなる傾向ですが、お母さんが飲ませたいだけ授乳してよいのです、自信を持って母乳授乳を続けてください。
さらに30歳以上で出産される方は、妊娠する前に必ず乳癌検診を受けておきましょう。妊娠中、また出産後に乳房のしこりが見つかることがありますが、妊娠前に検査しておけば問題ありません。良性のしこりと分かっていれば、妊娠中にそのしこりが大きくなっても、出産後元の大きさに戻ることがほとんどだからです。しかし、妊娠中・出産後に乳房にしこりを感じたら、発見した時点で必ず一度は検査を受けておきましょう。

それでは2002年から2017年までの16年間に当クリニック受診された乳腺炎の患者さん322名の内訳をご紹介しましょう。

263名の方が授乳期で、平均年齢31歳
60名の方が授乳期以外で、平均年齢 39歳
乳腺炎は授乳期に最も多く発生します。
しかし授乳期以外にも乳腺炎は発生します。しかしこの場合には、なぜか授乳期年齢より平均年齢は高く39歳です。症状は発赤、疼痛と授乳期の症状と変わりませんし、抗生剤治療がとても有効です。ほとんどが短期間で治癒します。

それでは授乳期の乳腺炎について少し詳しく紹介します。
授乳期乳腺炎の263名の方を詳しく見てみますと、
* 来院されたときの出産後からの月数の平均は、3.6ヶ月でした。
* しかし出産後1ヶ月以内の方は19%、3か月以内の方は66%、6ヶ月以内の人は82%と、3か月以内の方が過半数を占め、
6か月以内の方が大多数を占める結果でした。これは今までに報告されている通りの結果です。

そして出産回数が1回目の方が199名、2回目の方が52名、3回目の方が名、4回目2名でした。圧倒的に初産の方に多く発生していますので、いかに初産後の乳房ケアの大切さがわかります。この事実を妊娠中に、十分に説明されていないのが実情です。
*乳腺炎(症状として乳房の痛み、乳房の発赤、発熱)に気づいてから来院されるまでの日数は、平均10日でした。
*症状に気づいてから受診まで日以内の人は41%でした。
このように出産後6ヶ月以内がもっとも乳腺炎を起こしやすく、症状としては、痛み、発熱、発赤・熱感が典型的です。しかし乳腺炎が、痛みがないしこりから始まることもあり、逆に発熱のみで、しこりがはっきりしない状態で始まることもあります。

最初はほとんどがうつ乳状態の乳腺炎で細菌による化膿した状態ではありません。ですから授乳中に痛み、発赤、発熱などの乳房に炎症所見を認めたら、まず助産師に相談し、正しい授乳の仕方を確認して、授乳回数を増やし、乳房マッサージを受けることにより、このうつ乳状態がよくなれば、自然にうつ乳性乳腺炎は治ってしまうことも多いのです。
これらの乳房の症状に気がついて来院され方は、ご自身の判断で当クリニックに受診される方は全体の約1/3、残り2/3の方は助産師さんからの紹介で、乳腺炎が進行して化膿していないか心配で受診を勧められて来院されています。
そのため、当院受診の授乳期乳腺炎の方では、炎症が進行している場合が多くなっています。
そのため245名の授乳期乳腺炎の方のうち、169名(64%)が化膿して膿を貯めた乳腺膿瘍になっていました。
乳腺膿瘍の大きさの平均は5.7cmの大きさでした。
169名の膿瘍のうち、膿瘍が大きくどうしても切開して膿を出さなくてならなかったのは28%の方で、72%名の方は切開せずに、膿瘍部から膿を吸引して出す操作(穿刺排膿)を繰り返すことで、治癒しています。昨年1年間に来院された乳腺膿瘍13名は、全員切開せず穿刺排膿処置のみで治癒しています。
乳腺膿瘍になっても、切開排膿または穿刺排膿を行っても、同時に乳房マッサージを助産師さんから受けてもらいながら母乳授乳を中断することなく過ごすことが出来ています。この穿刺排膿のみで乳腺炎を治療して完全に治るまでの平均日数は14日でした。
膿瘍形成していない乳腺炎であった方はうつ乳性乳腺炎であったため、乳房マッサージで乳腺炎は治癒しています。 

授乳期の乳腺炎はうつ乳から始まります。うつ乳は、乳汁がなんらの原因で乳房内にたまってしまう状態です。このうつ乳は授乳中であればいつでも起こる可能性があります。このうつ乳を治療するには助産師さんによる乳房マッサージが欠かせません。乳房マッサージで、この乳汁の流れを改善すれば乳腺炎は自然に治ってしまうのです。乳房の広い範囲がうつ乳状態になっても乳房マッサージで、その範囲を徐々に小さくすればうつ乳はとれてしまいます。またうつ乳から乳腺炎になっても、乳房マッサージを続ければ、母乳授乳をやめる必要はありません。
ですから助産師さんとの連携が乳腺炎治療には欠かせません。出産前から、そして出産後も、乳房のトラブルに気軽に相談できるのは助産師さんです、妊娠中から出産後まで、乳房のトラブルを小さいうちに解決してゆくようにかかりつけの助産師さん(自分で開業している助産師さん)を見つけておきましょう。
産婦人科に勤務している助産師ばかりでなく、個人で開業している助産師さんがたくさんいます。開業助産師は、近くの保健所で教えてくれます。
浜松保健所/℡ 053-453-6111

授乳中に乳腺炎にならないようにするこつは?


1) 妊娠中から出産まで自分の乳房状態をいつでも相談できるかかりつけの助産師(私の助産師)を探しておきましょう、そして困ったときにはいつでもアドバイスを受けられるようにしておきましょう。特に30歳以上で、初産の場合には特に大切です。

2) 出産後から初乳分泌、そして哺乳開始と順調に分泌が増加してゆくのであれば問題ありません。この途中で、分泌量が少なく、哺乳状態が悪いときは、乳房の一部が硬くなり、うつ乳の状態ができあがってしまいます。これを放置すると、短時間(数時間)で乳腺炎になってしまいますので、この時はできるだけ早く乳房マッサージを受けることで、乳腺炎を回避できます。この硬い、痛い、赤い乳房の一部をそのままにしていますと、うつ乳性乳腺炎から細菌感染が合併し化膿性乳腺炎になり、さらに
放置すると膿をためた乳腺膿瘍へ進んでしまいます。
このように初乳から授乳が順調でないと感じた時、不安があった場合には、できるだけ早く助産師に相談することです。このときに、かかりつけの助産師がいれば、簡単に相談ができますから、大事に至らず授乳ができることになります。
3) もしどうしてよいか分からなければ当院を受診してください。

もし乳腺炎かなと思ったら?


1)初乳から授乳が安定するまで(出産後1-3ヶ月)、最も乳腺炎が多くみられますし、発熱・痛みが始まってから数時間~1日で乳腺炎は出来上がってしまいます。
2) しこり、発熱、痛み、発赤を乳房に発見したらできるだけ早く助産師と相談し、乳腺炎ならできるだけ早く乳房マッサージを開始し、症状が取れるまで乳房マッサージを止めないようにしましょう。うつ乳のみで軽い乳腺炎になっている場合には乳房マッサージのみで痛み、しこりは消えてしまいます。乳腺炎が完全によくなるまで繰り返し乳房マッサージを受けることで完全に回復することも多いのです。治療中も授乳はやめることはありません。
3) 乳腺炎になって、どうしても乳房マッサージでよくならない方が、当院を受診されます。しかし、ほとんどの場合助産師の乳房マッサージ処置を継続することで回復します。また重症化して炎症がひどくなり膿をためていることになっても、乳房マッサージを受けている方は穿刺して膿を外に出す処置で回復することがあります。
4) またどうしてもたくさんの膿をためていた場合、切開して膿を出す処置をしますが、切開後も乳房マッサージを続けることで授乳を中止することなく、乳腺炎は治癒します。
これらの回復を支えているが、お母さんの母乳授乳を続けたい強い意志、赤ちゃんの哺乳力、そして助産師による乳房マッサージです。乳腺炎を回復される一番の原動力は、赤ちゃんの哺乳力です、そして乳房マッサージの援助なのです、この二つの力らにより乳腺炎は急速に回復に向かいます。とにかく授乳を諦めてはいけません!!乳腺炎は必ず克服できますので、とのかく授乳中に発熱、またはしこりができたらできるだけ早期に乳腺炎を疑って助産師に相談しましょう。
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