当院の検査実績データと分析(last update 2021.5.3)
[乳腺外来を受診された患者さんの推移(1)]
[乳腺外来を受診された患者さんの推移(2)]
[現在授乳中で乳房の症状や授乳について悩んでいる方へ]
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2002年4月開院以来19年間の当クリニック乳腺外来を受診された患者さんの推移を以下に示します。昨年は1年間で3634名の方が受診されました。


昨年はご存知の通りコロナ禍で、来院される方が極端に減ってしまいました。しかし、皮肉なことに、病気が発見された方(乳癌)はここ10年では最も多い数になっています。最近は情報過多による、沢山の方が乳房に対する強い不安を持つようになり、特に授乳期や、20歳代から30歳代の方の受診が増加しています。以前と比べ受診者の方の訴えの内容は、乳房のある位置に感じる痛みや違和感、はり感などの自覚症状により、乳癌ではないかと強い不安を感じている方が多いことが特徴になっています。この傾向は60歳以上の方でも増加傾向にあります。

この乳房に症状が出ること自体は、閉経前の方であれば正常な乳房の反応であり、正常なホルモン環境にある証拠であり、むしろ健康な女性であるともいえる状態なのです。しかし、自律神経が不安定になりやすい生活環境(対人関係や周囲の人の病気の情報)では容易にストレスを感じ、これが乳房に反射されて、突然症状(痛みを主体とする症状)が出ることになり、不安(乳癌ではないか?!)の原因になっています。60歳以上方でも、若いころに感じた乳房の症状(はり感や痛み)は記憶されていて、年齢が過ぎても突然出てくることがあります、これが周囲の人の病気の報を耳にしたとき、不安感につながるのです。

この傾向は6年前より強くなっています。90%以上の方が、乳房に症状(“しこり”以外の自覚症状)が出ることで、病気に対する強い不安感を感じて、いてもたってもいられない状態で受診されます。病気のもっと大切なサインである、乳房のしこり感は、むしろ少ないのが現状です。とにかく病気に対する不安(乳癌であったらどうしよう?)が強く、受診されることが多いのです。

また乳癌検診を検診施設で受けて、報告書に良性の疾患を疑って経過観察と記載されると、この記載された内容に不安を感じて、診察、再検査を希望して受診される方が多くなっていることも特徴です。検診結果の記載された内容にかかわらず、記載されたことに不安を感じる方が多く、不安感を過敏に感じる状態が反映されていました(検診施設に検診結果について問い合わせができない、十分検診結果内容について説明が受けられない、経過観察とされても何時再検査したらよいかわからない、ことが不安の原因となっていました)。つまり受けよかった検診になっていないのが、現状のようです。

(図1)

乳房の病気のサインは、痛みやはり感ではなく、乳房に手で触れることのできる“しこり”なのですが・・・・、このことを繰り返し説明し、受診により病気がないことを証明することで、不安感を取り除くことが最も必要なことと感じています。そこで乳房の病気の症状は、乳房の痛みではなく、自己検診を継続することで発見できる“しこり”であること、そして特に40歳代からは最低2年に1度の乳がん検診受診(触診、超音波検査、マンモグラフィの3つの併用検診)の必要性と、同時に自己検診の仕方を丁寧に説明しています。

次に、その受診者の年齢分布の推移をみますと、40歳代の方が最も多いのは変化なしですが、受診者数の内訳では、20歳代、70歳代の受診者数は前年よりも増加していました。50歳以上の方の受診者まだ少なく、30歳代と50歳代の受診者数が拮抗しています。39歳以下の若年者の方の受診が多いのが特徴です。。

(図2)

乳腺外来受診理由の推移を見ますと、第1位が乳腺腫瘤、第2位乳癌検診、第3位が乳房の痛み、ハリ感などの症状であり、今回は乳腺腫瘤が圧倒的に多くなっていました。いかに“しこり”の症状に敏感になって受診されたかがわかります。

浜松市乳癌検診は、40歳以上69歳までは1600円の自己負担金で検診が受けらます、70歳以上は無料です。検診方法は、40歳代はマンモグラフィ2方向と触診、50歳以上はマンモグラフィ1方向と触診で、何れも超音波検査はありません。
 また乳癌検診の基本は触診+超音波検査+マンモグラフィ2方向撮影なのですが、市の検診や、職域検診では、超音波検査単独、マンモグラフィ単独または、マンモグラフィと超音波検査を交互に隔年で実施していることが多いようです。

1)乳癌検診には視触診とマンモグラフィを併用すべきであることが厚生労働省により2004年3月に決められ、40歳代は1年に1回、50歳以上は2年に1回の視触診とマンモグラフィ併用検診が推奨されました。しかし乳房検査では、触診、マンモグラフィ2方向、超音波検査の3つを同時に行うのが標準であり、最も重要です。これは乳癌検診にもあてはまることです。
自分の乳房の状態を正確に知るためには、この触診、マンモグラフィ2方向撮影、超音波検査の3つを同時に受けることが必要です。これは年齢に関係ありませんし、これを最低2年に1回続けることをお勧めします。
また、最近ではマンモグラフィ検診で、乳房触診を行わないことが多くなっています。マンモグラフィ検診では、乳房にしこりがあっても、マンモグラフィ上に映らなければ、異常になしになってしまいます。これを補うため、超音波検査の併用が必要です、ですからマンモグラフィと超音波検査を併用した検診をお勧めします。
2)視触診・マンモグラフィ2方向・超音波検査の3つの検査を行った方は、

外来受診者のほぼ80-90%を占めています。これらの受診者のうち何らかの所見(病変)があった方(有病者)は、この6年間50-40%でほぼ一定です。

(図3)

マンモグラフィ+超音波検査で有病者の受診理由を見ると、『乳房のしこり』を訴えている方が圧倒的に多く、次いで他の施設での乳癌検診で要精査(再検査)とされた方です。またこの有病者中に発見された良性疾患と乳癌の比率を図5に示します。ちなみに昨年発見された乳癌は97例で有病者中6.2%、ここ10年間で最も多い状態でした。

(図4)

受診者数は毎年変動しますが、発見乳癌数は毎年ほぼ一定数となっています。

腫瘤発見の方が積極的に受診されていると思われます。


3)この18年間に発見された乳癌の内の早期乳癌であった割合を図6に示します。年度により乳癌診断数も早期乳癌の比率もほぼ安定しています。早期乳癌とはしこりの大きさが2cm以下の第1期乳癌と、組織型が非浸潤癌であったものをあわせたものです。

ただ、毎年のように進行した状態(腫瘤が5㎝以上になっているもの)で来院される方が後を絶ちません。



この早期乳癌のうち手に触れない状態(手で触っただけでは発見できない乳がん)で発見された例(非触知乳癌)は、マンモグラフィで発見されたもの、超音波検査で発見されたもの、血性乳頭分泌で発見されたものが含まれます。以下にその年度別内訳を示します

図7:年度別非触知乳癌の症例数と発見動機別内訳


超音波検査で発見される非触知乳癌が年々増加しています。この図から、
自分で自覚する前に発見される早期乳癌発見には、マンモグラフィも超音波検査もいずれも必要であるとこがわかります。
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