漢方外来 更年期外来
インフルエンザ
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肺炎球菌ワクチン
巻爪手術
ワイヤー法
◆休診のお知らせ
10月30日月曜日
◆2021年9月14日の日経新聞 朝刊 電子版に、乳癌検診超音波検査、マンモグラフィーの併用に関し当院の取材記事が掲載されました。
◆2019年7月より 巻き爪・爪に関する診察を一時停止します
◆肺炎球菌ワクチン接種
一部公費接種の予約も可能です (4500円)
予約が必要です。
◆「助産師さんへのお願い」を追加しました。助産師さんには是非お読み頂ければ幸いです。
特に授乳中の乳腺炎については、積極的に治療しています。
授乳中の乳腺炎は出産後6カ月目までが最も頻度が高いのですが、出産後から積極的に母乳授乳の
ケアを助産師さんと協力してゆけば、難なく乗り切れます。また乳腺炎はうつ乳から始まりますが、
このうつ乳は母乳授乳している間はいつでも起きる可能性があります。
このうつ乳をうまく乗り切ること、迷ったとき、またうつ乳から実際に乳腺炎になっ
て発熱や、乳房痛、乳房のしこりができたときは、いずれのタイミングでも助産師と
協力のもと、乳腺医として治療に関わっています。
このうつ乳、うつ乳性乳腺炎、そ
して化膿性乳腺炎まで治療の基本は助産師さんによる乳房マッサージと授乳の継続
です。この乳房マッサージでうつ乳を無くして授乳を続ければ、乳腺炎は軽快し、母
乳授乳が可能になります。乳腺炎になっても、授乳を止める必要はありません。
また乳腺炎が進行して化膿して膿をためても、できるだけ切らないで治してしまう
方針で対応しています。これは膿をためた部分に針をさして膿の一部を吸引して外に
出す操作と乳房マッサージの併用により、母乳授乳を続けながら切開しないで、乳腺
膿瘍を治療することができることもあります。そしてもとの母乳授乳を続けられるの
です。決して乳腺炎になったからといって、母乳授乳を諦めることはありません。
また余談ですが、出産回数が多いほど、母乳授乳期間が長いほど乳癌の危険度が
低くなることが証明されています。最近はどうしても授乳期間が短くなる傾向ですが、
お母さんが飲ませたいだけ授乳してよいのです、自信を持って母乳授乳を続けてくだ
さい。
さらに30歳以上で出産される方は、妊娠する前に必ず乳癌検診を受けておきまし
ょう。妊娠中、また出産後に乳房のしこりが見つかることがありますが、妊娠前に検
査しておけば問題ありません。良性のしこりと分かっていれば、妊娠中にそのしこり
が大きくなっても、出産後元の大きさに戻ることがほとんどだからです。しかし、妊
娠中・出産後に乳房にしこりを感じたら、発見した時点で必ず一度は検査を受けてお
きましょう。
それでは2002年から2012年までの11年間に当クリニックへ受診された乳腺炎の患者さん
183名の内訳をご紹介します。
141名の方が授乳期で、平均年齢30 歳
42名の方が授乳期以外で、平均年齢 38 歳
乳腺炎は授乳期に最も多く発生します。
しかし授乳期以外にも乳腺炎は発生します。しかしこの場合には、なぜか授乳期年齢より高齢の人
に多くみられるため、平均年齢も38 歳と高くなっています。
症状は発赤、疼痛
と授乳期の症状と変わりませんし、抗生剤治療がとても有効です。
ほとんどが短期間で治癒します。
それでは授乳期の乳腺炎について少し詳しく見てゆきます。
授乳期乳腺炎の141名の方を詳しく見てみますと、
* 来院されたときの出産後からの月数の平均は、3.2ヶ月でした。
* しかし出産後6ヶ月以内の方は
116名(116/141=82%)
そして出産回数が1回目の方が104名、2回目の方が31名、3回目の方が5名でした
圧倒的に初産の方に多く発生していますので、いかに初産後の乳房ケアの大切かがわかります。
*乳腺炎(症状として:乳房の痛み、乳房の発赤、発熱)に気づいてから来院されるまでの日数は平均12日でした。
*症状に気づいてから受診まで7日以内の人は69名で、半数を占めました。
このように出産後6ヶ月以内がもっとも乳腺炎を起こしやすく、で症状(痛み、発熱、発赤、熱感)が出てから
早期に乳腺炎になってしまうことが分かります。
最初はほとんどがうつ乳状態の乳腺炎で、細菌による化膿した状態ではありません。
ですから授乳中に痛み、発赤、発熱などの乳房に炎症所見を認めたら早めにまず助産師に相談し、
乳房マッサージを受けることにより、このうつ乳状態がよくなれば、自然にうつ乳性乳腺炎は治ってしまうことも多いのです。
この症状に気がついて来院されるきっかけは、ご自身のみで当クリニックにこられた方は全体の
約2/3、残り1/3の方は助産師さんからの紹介で、乳腺炎が進行して化膿していないか心配で
こられていました。
この141名の授乳期乳腺炎の方のうち、87名(62%)が化膿して膿を貯めた 乳腺膿瘍 になっていました。
当院では、どうしても炎症が強くなって来られることが多くなっています。
それは助産師から乳房マッサージで軽快しない状態で紹介来院される方が多いからです。
乳腺膿瘍の大きさの平均は 5.3cmでした。
87名の膿瘍のうち、膿瘍が大きくどうしても切開して膿を出さなくてならなかったのは、
35名の方で、52名の方は切開せずに、膿瘍の一部を穿刺して膿を吸引して出す操作を繰り
返すことで、治癒しています。同時に乳房マッサージを助産師さん受けてもらいながら母乳授
乳を中断することなく過ごすことが出来ています。この穿刺吸引のみで乳腺炎を治療して完全
に治るまでの平均日数は15日でした。
膿瘍形成していない乳腺炎であった54名はうつ乳性乳腺炎であったため、乳房マッサージ
で乳腺炎は治癒しています。
うつ乳は、乳汁がなんらの原因で乳房内にたまって
しまう状態です。このうつ乳は授乳中であればいつでも起こる可能性があります。このうつ乳を治
療するには助産師さんによる乳房マッサージが欠かせません。乳房マッサージで、この乳汁の流れ
を改善すれば乳腺炎は自然に治ってしまうのです。乳房の広い範囲がうつ乳状態になっても乳房マ
ッサージで、その範囲を徐々に小さくすればうつ乳はとれてしまいます。またうつ乳から乳腺炎に
なっても、乳房マッサージを続ければ、母乳授乳をやめる必要はありません。
ですから助産師さんとの連携が乳腺炎治療には欠かせません。出産前から、そして出産後も、
乳房のトラブルに気軽に相談できるのは助産師さんです、妊娠中から出産後まで、乳房のトラブ
ルを小さいうちに解決してゆくようにかかりつけの助産師さん(自分で開業している助産師さん)
を見つけておきましょう。
産婦人科に勤務している助産師ばかりでなく、個人で開業している助産師さんがたくさんいます。
開業助産師は、近くの保健所で教えてくれます。
浜松保健所 TEL 053-453-6111